インカレレポート 2022  ~最も結果のでる艇とは~

インカレレポート 2022 ~最も結果のでる艇とは~

はじめに

男子エイト決勝をはじめ手に汗握る名レースが繰り広げられた今年のインカレ。有観客開催ということで久しく戸田の地を踏んだものも多いのではないだろうか。
今回は今年のインカレの結果を踏まえ、各種目上位4位までを「リガ―形状」「リガ―材質」「艇のメーカー」これら3つの要素に分け最も勝率の高い組み合わせを統計分析により算出した。概論として堂々と示すにはn数が圧倒的に足りないが、大まかな傾向とどのタイプの艇を買うか悩んでいるチームの思考の一助になればと思う。

統計結果


各種目の順位ごとに1位4p➡2位3p➡3位2p➡4位1pとポイントを振り分け、各要素で点数を算出した。
黄色でマークされているものが最も実績を出している要素となる。

小艇においてFilippiのバックWリガ―が実績を出している点についてはおおむね予想通りと思うRowerも多いのではないだろうか。今や特に1XにおいてはFilippi製カーボンバックW「アリアンテ」シリーズは世界基準とされている。

逆に大艇においては意外にもアルミリガ―が猛威を奮った結果となった。おそらくこれは今年のインカレ男子部を総なめしたN大の影響が統計の偏差値に大きく寄与していることが推測される。近年はエイトでもカーボンリガ―を導入している学校が増えているが、やはり価格面などがネックなのか4人以上の種目ではカーボンの浸透は小艇と比べるとあまり進んでいないことがわかる。
また、小艇はFilippi、大艇はEmpacherといった傾向もおおむね予想通りととらえるものが多いのではないだろうか。

これらの要素を全て数字に変換し、回帰分析にかけて要素ごとの実績をさらに深堀してみた。その結果、上の表では今年のインカレにおいて最も勝率が高いのは「バックW」「カーボン」「Filippi」の組み合わせとなるのだが、要素ごとでは「フロントW」「カーボン」「Empacher」となった。(p値>0.05、1>t値>2)

これは、1位クルーが「フロントW」で2,3,4位クルー「バックW」といった要素の偏りの点在や、3点リガ―という少数派が素晴らしくも複数種目で上位4クルーに食い込んでいたことによる外れ値の発生等が原因といえる。

まとめ

外国艇のカーボンW艇は非常に高価ながら漕力をあますことなくオール、そして水へと伝えてくれる勝利請負艇であるといえるかもしれない。近年はEmpacherとFilippiの中でも最上級の艇が当たり前のようにインカレや全日本級の大会で見られており、保有数は世界でも日本はトップクラスといえる。

しかし一方で3点リガ―艇でも全然トップクラスで戦えることも毎年のインカレなどで証明されており、決して今回のこの統計結果が必ずしも勝利を呼び込むものではないといえる。
資金が潤沢にあるボートクラブは積極的に最高級新艇を購入するが、10年前の艇でも素晴らしいローイングを魅せる選手が乗れば、全国規模の大会でもジャイアントキリングは起こせると見てよいだろう。

ぜひ海外のローカルレガッタの動画をYoutube等で見ていただきたい。いまだに木製の3点リガ―艇が現役でありながらも素晴らしいタイムを出している。ボートは整備を正しく行えばいつまでもパフォーマンスを発揮し続けてくれる一生ものなのだ。自分の漕力を最大限に発揮するべき場面が訪れた時こそ最上級艇の出番なのである。

余談ではあるが、日本は世界的に見ても類を見ないほどの高級艇輸入大国である。

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