3分で読めるイギリスのローイングタレント発掘 ~Performance Development Academy System~

3分で読めるイギリスのローイングタレント発掘 ~Performance Development Academy System~

はじめに

2016年リオ五輪にて、イギリス代表は悲願の男子エイト金メダルを16年ぶりに奪還した。2024年パリ五輪でも金メダルを手にしたのは記憶に新しい。もともと本場もとい強豪国とは認知されているものの、実は主要国際大会でのクルーボートでの戦績はドイツやオランダに及ばずにおり、強化費の削減や競技人口の減少など苦境に立たされていた。そんなイギリス代表の近年の再興の一因といわれているのが、ポテンシャルアスリートを奨学金付きで提携大学に進学させて育成を行う競技転向者育成システム(Performance Development Academy : PDA)である。著者もバース大学院への留学の傍ら南西部PDA拠点にいたので、可能な範囲で概要を記す。

※14~22歳が対象だが合格者の9割以上は18~20歳であり、14〜17歳の選手はまだ発達段階ということで拠点施設でのトレーニングのみとなる。

選考基準 ※拠点により若干異なる

男子は188㎝以上、女子は176㎝以上という厳しい身長基準に加え、これらのような身体テスト、また高校時代の学業成績(Grade 6(GCSE)もしくはB(A-level): 日本でいうと内申点4以上がおよその目安)の審査 、面接審査なども導入されている。

同じ大学ロースーでも別団体

テストに合格し拠点大学に進学した選手(各拠点に男女で毎年5〜10人ほど)は協会本部から派遣されたコーチよりみっちりトレーニングを受ける。なお特徴として、拠点大学のボート部には所属していてもPDA選手は別団体とみなされ、同じ大学ロースーを着ていても同じボートに乗ることはなく派遣コーチもPDA選手のみに指導する。9月に入学し、早春のイギリス中部Bostonで行われる6㎞のM1X TTに間に合わせるのがベストであるため、急ピッチな強化計画が導入される。ちなみに1週目は基礎トレに加えて座学と沈回復実習である。どのようなトレーニングを行っているかはまた別でブログにする。 

どの競技からの転向者が多い?

自分がこれまで情報収集できた範囲で、かなりおおざっぱではあるが概算で下記の通りとなる。あくまで参考程度にしていただきたい。

男子


女子

最後に

日本でも競技転向者の育成は少しずつ進んでいると聞くものの、今後どのようにシステム化していくのかは気になるところ。奨学金というのは金銭的ハードルが高く、またほぼすべての大学が国立のイギリスとは異なり、日本は私立大学のボート部の数が多いため一元的なシステムを作るのは簡単ではないだろう。とはいえ、日本にもフィジカルエリートはたくさんいるため、いかにどれだけ多くローイングに引き込めるかは長期的に見て強化のカギとなると考えられる。

 

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