はじめに
24/25シーズンはロンドンのクラブに所属し、五輪王者を二度経験しているイギリス人にコーチしてもらうことができた。オックスフォード・ケンブリッジ対校戦の最高齢出場記録保持者(46歳)でもあり、50代の今でも隙間時間にはエルゴとシングル乗艇を欠かさない、まさしくオアズマンな生き方をしている漢である。シーズンを通して疑問に思っていたことを色々とぶつけてきたので紹介させて頂こうと思う。あくまで考え方の紹介であり、「こうしたほうがいい」では一切ないことをどうかご理解いただきたい。口頭の内容を記憶をたどって書き起こしているため、内容が薄い部分もあることも何卒ご留意を。
水上テクニック
・前から?後ろから?
→そもそもそれらは同列じゃない。まずはしっかりとPushして押し切るところにフォーカスする。これはリズムのためでもあり、Back end(フィニッシュ)が正しい姿勢で一枚で押し切れていないと何も始まらない。そして、良いBack endは良いバランス、そして良いキャッチへとつながっていく。キャッチはBack endの付属物ととらえたほうがいい。
・初心者が最初にに身に着けるべきことは?
→常に「ストレッチャーの前後の動き」でリズムを感じる意識。ローイングはリズムゲームだ。「腰を寝かせない」「Back endはしっかり腹筋を立てる」など初心者が気を付けるべきポイントは多いが、まずはリズムを気にする習慣がつかないとどれからテクニカルを改善するべきかわからなくなる。
・レンジってできる限り長くとりに行ったほうがいいの?
ナンセンス。ケガするぞ。脛が垂直かつ上体が寝ていない(セットで作った前傾姿勢のまま前に出るだけ)ポジションがベストであって、レンジは身体の構造や柔軟性で決定されるもの。シートも無理に前に出すものではない。ローイングは、正しい姿勢で漕いでいれば怪我はしない。
・リズムが通りにくい時に有効な技練は?
→ブラインドロー(漕手は全員目をつぶって漕ぐ)がおすすめ。視覚の情報をなくすことでストレッチャーに意識を集中せざるを得なくなり、自然と全員がリズムにフォーカスするようになる。そこからリズムが通らない原因はどこにあるのか見つけやすくなる。
トレーニング全般
・乗艇/エルゴ/ウェイトの割合は?
→3/4/3もしくは2/5/3(特に18歳以下)あたりがいい。冬場はエルゴ多めか、ラン(15~20km)を入れてもいい。フィジカルスポーツであるローイングにおいて、エルゴとウェイトを多くやらないと強くはなれないと断言できる。必ずUTエルゴ(60min~90min) とHardエルゴ(単発系)の両方を入れること。ウェイトも重要で、デッドリフトとバックスクワット、そしてコア(体幹)は毎回必ず入れること。背中と足の筋力、そしてそれをブレードに伝える体幹がそろっていなければならない。おすすめメニューはデッドリフト、バックスクワット、アームカール、ダンベルフライの10/9/8/7/6/5/4/3/2/1(回数)。
・他団体との並べは多いほうがいい?
→絶対に多いほうがいいし、なるべく格上の相手のほうがいい。並べることによって得られるものは多く、とくにレースという特殊な環境下での自分たちの強みと弱みを明確にする絶好な機会となる。フリーレートよりレート指定で複数本並べるほうが一定のリファレンスのもと比較ができるのでおすすめ。
最後に
まだまだあるので、もしご要望あればクルー選考の秘訣や栄養補給といったトピックのものもご紹介させて頂こうと思う。日本だと賛否両論ありそうな内容が多いが、少なくとも自分が日本の大学を卒業し4年ブランクの後イギリスで2Kエルゴのベストを更新できたのは大量のエルゴとウェイトのおかげだと確信している。パワーは力なり。
