はじめに
2020東京五輪で男女合わせて金メダル1つ、銅メダル2つを獲得しローイング界隈に衝撃をもたらした中国代表。欧米列強を打ち負かしてのメダル獲得という躍進の裏には、名選手であり名将でもある、Sir Steve Redgrave ”サー・スティーブ・レッドグレーブ”という英国人コーチの存在が大きくかかわっている。
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サー・スティーブ・レッドグレーブは1984ロス五輪から2000シドニー五輪までの5大会連続で金メダルを獲得、さらに選手引退後はコーチとして英国女子代表を率い、2008北京五輪から2016リオ五輪までの3大会で金を含む複数個のメダル獲得に大きく貢献した。まさしく”Sir”の称号にふさわしい英国ローイング界の功労者であるといえる。
中国代表近年の結果
2020東京五輪
- 金 W4X
- 銀 None
- 銅 W8+、M2X
2022 World cupⅠ
- 金 M4X
- 銀 W1X、LW2X、W4X、W8+(全3艇、内中国2艇)
- 銅 M4-、M8+(全3艇)、W4-
国際大会での成績を見ると、近年では女子チームの台頭が目立つ。五輪での複数メダル獲得に続きWorld cupへの積極的なエントリーなど、徐々にローイング界隈においても強豪国として認知されつつある。また、W4Xにおいては2019年のHenley Royal Reggataに出場しW4X「Princess Grace」杯にてオランダ代表を破って優勝するという偉業を成し遂げている。レッドグレーブ氏がコーチに就任してからは実践的なトレーニングの積み上げと同時に積極的に海外レースへ挑戦して経験を積み、確実に力を上げているといえる。
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超実践的な強化方針
Henley Royal RegattaやHead of Charlesなどといった、World Rowing以外のビッグレースにも積極的に参戦させ経験を積ませるという実践的な強化方針を掲げるレッドグレーブ氏だが、その中でも特筆すべき活動が「大規模ローイング留学」である。18~22歳の若い選手を” City of Oxford College”「オックスフォード市立大学」へローイング特待生として1年間留学させ、レッドグレーブ氏が自ら直接指導するプログラムである。
成功すれば大金を稼ぐことができる卓球やサッカー、バスケといったスポーツに人口が偏ってしまいがちな中国において、社会的、文化的充実を目指すアマチュアスポーツの発展は往年の課題となっており、このプログラムはまさしくその課題にチャレンジしたものとなっている。このプログラムを卒業した選手の中には、東京五輪やWorld cupでメダルを獲得した選手が男女計5人含まれている。
日本ボート協会も是非、革新的な強化改革を取り入れてみてはいかがだろうか?
引用元
- XINHUA NET(http://www.xinhuanet.com/english/2021-07/31/c_1310099014.htm)
- Row360”Steve Redgrave on City of Oxford College’s new rowing program”
(https://row-360.com/steve-redgrave-on-city-of-oxford-colleges-new-rowing-program/)
- Inside the games ”Olympic legend Redgrave targets one rowing gold medal for China at Tokyo 2020”