はじめに
Henley Royal Reggata (ヘンリー・ロイヤルレガッタ)をご存じだろうか。英国テムズ川最上流部にある「ヘンリーオンテムズ(Henley on Thames)」という地域及び水域で行われるクラブ対抗のローイングの大会であり、毎年7月第一週末に6日間の日程で開催される。1839年からおよそ190年続いており、「近代スポーツの祖となる大会」と呼ばれている。毎年世界中からアマチュア〜五輪メダリストレベルの選手まで多数が参加し、カップと呼ばれる優勝杯の争奪戦を繰り広げる。ちなみに日本からもたまに参加しており、筆者が聞いた話だと三菱養和会BCが大会運営とのコネクションを通じて参加枠を所持していて、会員や実業団選手をのせて数年に一度エントリーしている。海外参加についてはHPに「要問合せ」としか書いていない。
特徴
レースは、1マイル550ヤード(2,112m)のコースで行われ、各種目ごとで直接対決のノックアウト方式で行われる。また、大会自体が国際的な競技組織が発足するはるか前より存在しているため、大会運営やルール管理は独自の組織によって行われており、World Rowingはこれを承認している。このレガッタはイギリスの社交界の一翼を担っているため厳格なドレスコードがあり、毎年各出場クラブは独自のブレザー(ローイングブレザー)を羽織っていることも特徴的である。
※大会HPよりRoyalty freeのものを掲載
競技システムにも特徴があり、その中にStewards (スチュワード)と呼ばれる絶対的な権力を持った運営陣がいる。彼らは独断で大会予選TT免除のシードクルーを選抜することを許可されており、さらに予選免除クルーの組み合わせ配置も行う。エリートレベルのクルー同士が最初にぶつかることを避けるため行われており、暗黙の了解となっている。このスチュワードによって選抜されたクルー以外はまず同会場で一週間前に行われるTT予選に出場して上位クルーに入らないと本大会に出場できない。また、それらのクルーはドローと呼ばれる抽選会で組み合わせが決められる。
レガッタの各競技はノックアウト方式で行われ、各レースは2つのクルーが並んでヘンリーのコースをレースする。コースは、ブーム(水面に浮かぶ木製の棒で、垂直のポールの間に固定されている)が川に沿って2列に並べられ、全長2,112メートルの直線コースとなっている。このコースは、2人のクルーが数メートルの間隔をあけてレースをするのに十分な幅があるが、経験の浅いクルーだとブームに衝突することも珍しくない。
レースはテンプル島の下流端からスタートし、クルーは2つのポンツーンに取り付く。審判が2つのクルーの名前をコールし、両クルーがまっすぐに準備が整ったところでスタートする。各クルーは、レースコースのBucs (バックス)(バッキンガムシャー州)側またはBerks (バークス)(バークシャー州)側のいずれかを漕ぐことになる。操舵手または舵取りは、レース中、常に自分のクルーがコースの指定された側にいるようにしなければならない。唯一の例外は、クルーがかなりの差をつけてリードしており、審判員が後続のクルーを妨害していないと判断した場合である。
出場資格
元々はヘンリーオンテムズでの観光資源の一環としてレガッタが提唱されたことから始まっており、最初はアマチュア限定だったが、やがてエリート選手、そして海外の選手を受け入れるようになり、今の形になった。過去には「肉体労働者の出場を禁止」していたが、時代の変化により「職業を問わない」ようになった。今では原則出場資格は年齢と性別のみになっている。
種目
男女全26種目
出典