現存する超希少な木造艇専用メーカー
Levator Boatwork(以下リベイター社)は「Row Beautiful, Row wood」というキャッチコピーとともに約40年にわたって木造艇を製造しているカナダ、オンタリオ州の老舗ボートメーカーである。正確には、木造艇を生産しているメーカーは少数ながら世界中に存在するものの、メインとして取り扱っているブランドはこのリベイター社含め2社のみである。艇のグレードに合わせて使用される木材もグレードアップしており、ハイエンドの「Flight」シリーズは高級木材のマホガニーウッドとカーボンウィングリガ―を組み合わせた至高の一品となっている。
↓こちらの映像はリベイター社から公式に送られてきた、木造艇の詳細の映像。連絡を取ってみたところ、快く取材、映像使用の許可を頂けた。
失われた芸術と技術
現在主流となっているカーボン艇は型がある状態ならおよそ40時間で完成させることができるのに対し、木造艇は工期に100時間以上かかるといわれている。カーボン艇と違い、木造艇は1枚板をニス塗➡乾燥➡固定という作業の繰り返しによって、その船体を形作っていく。
そのため職人の負担が大きく、また湿度などの自然要因等の影響から、繊細な職人の感覚が必要であり、作業を機械化できない為年間の生産台数は非常に少ない。
しかし工業化による素材や工程の変化によって、徐々に職人は減っていってしまっている。
現在ではレース艇ではなく趣味用、あるいは観賞用としての注文がほとんどであり、20年後には職人もいなくなり完全に過去の遺物となると言われている。
ちなみに、メーカーではなくとも一人親方としてひっそりと木造艇を作り続けている職人は各地に存在する。テムズ河畔にて長年にわたり製作を続けている職人のインタビューが過去にBBC(英国放送協会)に載っているため是非見ていただきたい。
写真のFlightシリーズはお値段$18,088(現在のレートで230万円以上)からとエンパッハ社やフィリッピ社と比べても高額なのがわかるが、木艇が主流だった時代の元オアズマン達は1艇、記念にいかがだろうか?
出典
・Levator Boatworks公式HP
https://www.levator.com/mahogany-series.html